展覧会で絵を観ていたら、突然、絵から音楽が聞こえてくる・・・・・・
そんな経験、無いですよね。
ところがムソグルスキーはなぜか音楽が聞こえてきた。
これは最初、ピアノの曲だったのだが、「音の魔術師」ラヴェルの手になる編曲で、一気に大ブレイクした。
皆さんも最初の出だしはきっと聞いたことがあるはず。
下記のアルバムは「オーケストラ版」と原曲の「ピアノ版」が収録されています。
演奏について言うと、最後の「キエフの大門」の冒頭に至る部分から、最後までは、鳥肌もの。さすが全盛期のカラヤン−ベルフィルの盛り上げ方は、とにかく素晴らしい。
この録音は、「キエフの大門」での、鐘の音の強弱の変化が激しいが、オーケストラの中で、打楽器を、これだけ強弱をつけて打ち鳴らすというのは、奏者はもちろん、指揮者にも相当、自信がなければ出来ないことだと思う。
その点でも画期的な演奏だ。
わずか800円ちょっとで、有名なラヴェル版とオリジナルのピアノ組曲版が聞けるというのは、信じられないほど贅沢である。
ムソルグスキーは、ピアノ組曲としてこの曲を作った(自身ピアノの名手であったそうだが、あまりピアノ曲は好まなかったらしい。)が、彼が生前有名でなかったこともあり、この曲はほとんど演奏されていなかった。
それを一躍有名にしたのが、ラヴェルによる編曲版であった。
ラヴェル版は、鮮やかなトランペットの音色で始まる「プロムナード」が有名だが、他の部分でもトランペットが巧みに使われている。
「カタコンブ」や「キエフの大きな門」でのトランペットも鮮やかである。
特に、「キエフの大きな門」では、トランペットの音色が雄壮で、門を中心とした街並みまでもを想像させる効果を持っている。
他方で、本来の形であるピアノ版もよい。
プロムナードはもちろんのこと、「古城」の静かな雰囲気や「殻をつけたひなどりの踊り」のコミカルさは、むしろピアノ版でこそ真価を発揮していると思う。
名曲を聞き比べられて、しかも1000円以下。実に良心的である。
“絵”の作品の世界観も曲に出て聴きやすいし、「プロムナード」にしても曲の合間にモチーフを変えて登場したり最後の「キエフの大きな門」でも同曲の主題がフッと出てきて作品としてみても十分聴き応えあります。
「展覧会の絵」をオーケストラとピアノで聴けて一度で二度お得なうえ、この価格は安い!
個人的にオーケストラ版とピアノ版を聴き比べてみてどっちかていうとピアノ版のほうが展覧会に行ってるような感じです。
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