出だしは、いきなりトランペットのソロ。それも葬送行進曲だ。
小澤=ボストン交響楽団では、この出だしから、熱気が最高潮に達している。
第4楽章は叙情的で、どこか退廃的な楽章で、ヴィスコンティ監督の映画『ベニスに死す』に用いられて注目された。
そもそも、原作者トーマス・マンは主人公をマーラーとして想定したというが、映画でも音楽家として登場させている。
マーラーは指揮者としてまず名声を得るが、作曲家としては、長く低迷していた。
しかし、彼は「やがて、私の時代が来る」と強がりを言ったりもしていたらしい(いかにも『芸術家』だ)。
20世紀の後半になって、マーラーブームが来たので、彼の予言も当たっていたわけだ。
マーラーの曲は、どれも明るさの中に暗さがあり、いつも「死」を感じさせずにはいられない。
彼の人生や思想には、きっとつねに「死」があったかもしれない。
同時に、「力強さ」もある。
明るさの中に暗さや死があるけれど、パワフル、という夏にはうってつけの曲だ。
小澤=ボストン交響楽団は、この手の大曲をやったら右に出るものはいない。
このマーラーの交響曲第5番でも、その能力をいかんなく発揮している。
8月のヒロシマやナガサキ、アメリカ、ニホンを思いながらこの名曲、名演奏を聴いてみよう。
そこには、人間の愚かさが垣間見られる。
しかし、同時に、諦めてはいけない、というメッセージも含まれている。
●マーラー:交響曲第5番

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